10mの精度があれば、直径20mのエリアに着陸できると思うかもしれない。だが問題は、はやぶさ2がこれまで高度51mまでしか降りた実績がないという点。つまり50m以下は未知の世界であり、10mの精度を保って着陸できる実力があるかが分からないのだ。

JAXA記者説明会資料より。着陸ターゲットは100m四方から直径20mに狭められた。このエリアにも、着陸安全性に支障のある50cm級以上の大きな岩があるという。(提供:JAXA)
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 そこで、10月に2回(14~15日、24~25日)のリハーサルを行う。リハーサルでは至近距離(高度約40m以下)で高度を計測するレーザレンジファインダー(LRF)と、着陸時に使用する目印ターゲットマーカーを実際に使ってみる。LRFは9月のリハーサルで使用する予定だったが、リュウグウ表面が暗すぎたために高度600mでリハーサルは中止。今回のリハーサルで、きちんと働くかどうか初めて検証する。

「50mから先(下)は、小惑星の地表面の形状に強く左右される。一つひとつの凸凹を高度計で測りながら降りていく。スムーズに降りられるか、実際にやってみないと分からない。LRFも特性が分からないし、ターゲットマーカーも実際に落としてみないと、探査機が認識できるかどうか。分からないところをつぶしてから地表にタッチする作戦に変えた」(津田プロマネ)。10月14~15日に行われるリハーサルでは、高度約25mまで降下する計画だ。

 リハーサルの結果によっては、さらにリハーサルを行う可能性もあるという。12月には、はやぶさ2に関わる全科学者が集まる会議が行われる。本体はもちろん、ミネルバⅡ1やMASCOTが観測したデータも持ち寄り、総力戦で作戦を練る。「直径20mの円を狙うのは不可能ではない。手ぶらで地球に帰るわけにはいかない。何らかの方法で挑戦したい」(津田プロマネ)。

 牙をむくリュウグウに対して、チームはどうやって立ち向かうか、意気が上がっているという。この難敵から1回でもサンプルを採り、地球に持ち帰ることができれば快挙だ。これぞ探査の醍醐味と言えるだろう。まずはリハーサルの結果、はやぶさ2チームがどんな作戦で挑むかに注目だ。