運動後の栄養の補給方法が、その後の身体の回復などに影響を及ぼすという。

 試合でよい結果を出す。体力を高める。肥満を解消する。「運動」をしている人にとって、その目的はさまざまだ。運動前は、今日は運動するぞと心の準備をし、運動中は集中したり楽しんだりしながら充実した時を過ごす。

 一方で「運動後」のことについては、解放感もあってか、さほど意識が向かないという人も多いのではないか。運動をすれば確実にエネルギーは減るのだから、栄養補給は大切なはず。そんな「栄養の摂り方」について、どれだけの人が気を使っているだろうか。

 運動後の栄養補給の大切さや、効果的な栄養補給の方法を知れば、運動後の飲食にもより意識が向くのではないか。こうした考えから、今回は「運動後の栄養補給」について目を向けたい。

 話を聞いたのは立命館大学の総合科学技術研究機構で専門研究員を務める東郷将成(とうごう・まさなり)氏だ。2018年8月まで所属していた酪農学園大学大学院では、運動後の栄養補給の方法について研究し、博士号を取得した。また、以前より管理栄養士として数々のアスリートの栄養補給をサポートしてきた。

 前篇では東郷氏に、そもそも運動後に栄養を補給することがいかに大切かを聞く。そして後篇では、運動の目的に照らし合せた栄養補給の方法について聞くことにしたい。

運動でエネルギー源の筋グリコーゲンが利用され・・・

――運動した後の、私たちの体内ではどんなことが起きているのでしょう? 

東郷将成氏(以下、敬称略) 私たちのエネルギー源として「3大栄養素」と呼ばれる、糖質、脂質、タンパク質が挙げられます。このうち、運動をしたときには、主に糖質と脂質が消費されます。消費される割合は、運動様式や時間によってさまざまです。

――糖質と脂質では、運動によってどちらのほうが多く利用されるのでしょうか?