いずれにしても、非物理的打撃のEWとHPMWは相互補完関係にあり、日本のミサイル防衛の主役となる2枚看板である。

 おまけに弾は無尽蔵で安上がりだ。これとイージスアショアなどの物理的打撃を組み合わせることにより、初めて総理は「国民を守り切っている」と胸を張って真実を語れるだろう。

 この事業は、総理の第1優先事項であることから、防衛省は2枚看板の実現に勇気をもって挑戦しなければならないし、財務省は十二分な予算を投入しなければならない。

日米連合軍は中国に勝てる!

 中国は、米国に勝利するため、米国が太平洋を跨いで早期に展開し、戦わねばならない不利点を突き、第1列島線周辺で米国と「非対称の戦力」で米国に勝利することを追求し、ある程度の成果を得つつあるようだ。

 その典型は接近阻止・領域拒否戦略(A2/AD)といわれるもので、空母に対して空母で対抗するのではなく、多数の発射母体からの多数の対艦精密誘導弾の飽和攻撃により米空母を戦場から排除すると言うものである。

 これに対して米国は、受け身であった作戦から、物理的打撃の分野では積極作戦へ転換しつつある。

 それはハリス元海軍大将が言った「(潜水艦を含む)船を沈めよ」であり、このため、米軍は、

(1)長射程の対艦ミサイルの増勢に着手し、空母艦載機のためにLRSAM(日本ではF15に装備化予定、射程1000キロ以上で東シナ海全域を覆う)を開発し、さらにこれはイージス艦にも搭載が可能だ。

 また、トマホーク、防空ミサイルなども対艦攻撃機能をつけ、駆逐艦や潜水艦からも多数発射できるように改良中である。まさに、中国の逆手を取った精密弾の飽和攻撃返しである。

(2)潜水艦・機雷などを含む水中の支配を決定的な作戦として位置づけている。

 これに呼応して非物理的打撃である宇宙、空中からの盲目化作戦(サイバー、EW、HPMWなどの攻撃)を作戦の切り札としている。

 当然、日本は、「船を沈めよ」「電磁領域での勝利」を旗印に、国土・国民を守りながら米国との共同作戦で中国に勝利できることを証明し、中国の軍事的冒険の意図を断念させることが戦略の目標となろう。