ロシアはシリアに車載EWを配置しているが、概念的に300キロの妨害範囲を持っていると言われ、衛星や巡航ミサイル、精密誘導弾、その他電波を発するものの妨害が可能で、航空戦闘を指揮するAWACSなども妨害できるとしている。

 予備車両も含めて30~40両程度で日本全域の防衛が可能となる。幸いなことに、日本は陸自に電子妨害を任務とする第1電子隊が北海道にあり、やがて第2電子隊もできるようだ。

 これらが装備するものは基本的にロシアのEWと同じであり、従って新たな開発要素はないことから、ロシアのように新たなランドベースの装備品として、日本列島全域の覆域が可能な態勢の早期確立が必須である。

 海空自にとっても有難い存在となることは間違いなく、さっそく来年度から予算化されて当然であろう。

 これこそ、総理が言われる電磁領域の優越を獲得する1番バッターである。

 さらに、ロシアが装備するHPMW車両の日本版が5年以内に装備化することが可能な2番バッターである。

 HPMWは電子機器を破壊するため、ドローンや巡航ミサイル、航空機、艦船、地上部隊などあらゆるものを使用不能にすることができる。

 ロシアは20キロまで破壊できるとしているとしているが、日本は水平線までを意識して30~40キロの破壊を目指すべきであろう。

 そして、車載型を完成させた後は、小型化して航空機搭載型にしたり、大型化して列車移動型や固定型にして300~400キロ程度の破壊を追求すべきであろう。そうすれば、多数の核弾頭搭載の弾道弾を一挙に無力化することも夢ではない。

 このために日本は、先行する海外の有力な軍事産業と協力して実現を早めることも視野に入れるべきであろう。