日々の仕事の中で、多様な立場の人のビジネスプラン構築の相談に乗る中で、「この件は、早い段階でベンチャーキャピタルの資金を調達するほうが、ステークホルダーの幸せにつながりそうだ」と感じることも、もちろん少なくありません。

 しかしながら、どんな状況においても、一つひとつの案件の特徴を見ることなく、ステークホルダーの人生の幸せを顧みることもなく、「とにかく早い段階で外部の資金を調達することにつながるビジネスプランこそが、優れたビジネスプランである」という価値観でベンチャー業界が染め上ることは、一部の立場の人々の利益にしかなっていないということについて、業界全体でもう一度考え直してみませんか。と、ささやかな一石を、今回もまた日本のベンチャー業界に投じてみました。

 ちなみに、(3)のみを優秀なビジネスプランとして評価しますよというビジネスプランコンテストの多くは、その評価基準を予め明記してくれていることが多いです。

 たとえば「上場を見据えた戦略か」とか「シェアを早期に制圧することを考えているか」とか「将来の時価総額が1000億円を超えそうか」などの文言があったら、そのコンテストは、

「我々は、個々のステークホルダーの幸せや、技術を社会にどう生かすかということよりも、事業立ち上げの初期にできるだけ多額の資金調達をして、ベンチャーキャピタルのシェアを極限まで大きくしてくれるようなビジネスモデルを“優秀なビジネスモデル”として評価しますので、そのつもりで来てくださいね」

と言っていることと同義ですので、コンテストの審査員が見たいと思っているビジネスモデルを描いて提出すれば良いのです。つまり、簡単に言うと、売上が上がりビジネスが立ち上がる前に、できるだけ多額の資金が必要であるという理屈を作ってあげれば良いのです。

「最優秀賞」をもらえるビジネスモデルが、描けそうな気はしてきましたか?

 僕は、そういうのは描きませんけどね。