アップル、来月12日にイベント 新型iPhone発表の見通し

アップルのロゴ(資料写真)。(c)Josh Edelson / AFP〔AFPBB News

 イノベーションを煎じ詰めると、そこには新しい知識がある。オープンイノベーションは、異なる組織の間で新しい知識を生み出す試みだと言える。それでは、どのようにその知識をマネジメントするのが良いのだろう。2回にわたって解説する。(後編・全2回/一橋大学イノベーション研究センター教授、清水 洋)

知識のすり合わせ方~3つのパターン

 前編(「他社との協業の前に知っておきたい知識の3つの性質」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54254)では、知識には非競合性、非排除性、そして不可逆性という3つの性質があることを説明した。今回はそれを踏まえ、どのように知識をすり合わせていくかについて、3つの典型的なパターンとその長所と短所を見ていこう。

(1)専門部署を介した集約的な知識のやりとり

 第1のすり合わせの仕方は、専門の部署を組織化して、そこを中心にすり合わせていくものである。コラボレーションを行う組織の間に専門の部署を組織化し、そこに異なる知識のやりとりの集約化する。

 コラボレーション相手の組織がどのような知識や技術を持っているのかは、その組織が多様な知識や技術を保有していればいるほど、またその組織の中でそれらが拡散していればいるほど、事前に把握するのは難しい。さらに、そもそもどのような知識が利用可能なのか、どのような知識を自社の知識と組み合わせると大きな価値を生み出せるのかなどをパートナーの間で事前に分かっていることはほとんどない。そのため、双方でNDAを結び、密接な知識のやりとりとすり合わせをしていく。ここに専門化された部署を組織化し、そこに情報を集約することの意味がある。

 専門組織はそれぞれの組織に分散している知識を集約化することにより、組織間でのパートナーの持つ知識を探索するコストを低減することができる。また、コラボレーションを行うパートナーとの密接な情報の交換によって、それまでには想定していなかったような知識の探索を行うことができる。