MSD人事部門人事グループマネジャー萩原麻文美(はぎわら・まふみ)氏。2001年にMSDの前身である万有製薬へ入社、営業職を経て2006年から広報部門、2009年から人事部門。人事制度、労務政策、働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョン推進などを担当する。2016年から現職。

 一方、前編で触れたとおり、副業も推進中である同社。このような状態では、従業員が平日の日中に副業をしてしまうといった懸念も出そうなものだが、「働き方改革」を担当する人事部門人事グループマネジャー萩原麻文美(はぎわら・まふみ)氏は「裁量労働制という働き方は、日々の労働時間の裁量は個々の社員にあります。極端な話、2時間しか働かない日があったとしても、最終的に期待されているパフォーマンスを出すことができれば何ら問題ないのです。本業以外の時間で副業することに問題はありません」という。

 たしかに裁量労働制は、実際の勤務時間を問わない制度であるため、勤務時間が短くてもよいわけだが、この割り切りには驚く。

 このような「働く時間も場所も選べて副業も可」という、会社員としては「自由すぎる」とも思える働き方は、「結果がすべて」という考えが徹底されているからこそ実現できると言える。

 萩原氏は、同社の仕事に対する考え方を次のように説明する。「本業において期待されているパフォーマンスを発揮し、期日までに成果を上げられるのであれば、時間の使い方は問わないということです。逆に、副業などによってもし期待された成果が上がらなくなったら、その分、低い評価を受けることになります。仕事の評価は『結果』がすべてなのです」。

成果は「最終ゴール」への貢献度

「期待されたパフォーマンスを発揮できるか」は、MSDにおいて柔軟な働き方を選択するために必要不可欠なことでもあり、在宅勤務における条件にもなっている。オフィスでなければ集中できない、という従業員もいるためだ。

 逆に条件はこれのみで、職種や等級などの細かな規制は一切設けず、個々の判断は現場に任せている。これは、前編で触れた副業ガイドラインと同じ考え方である。