(1)副業の仕事が自社に利益相反しないこと
(2)機密保持の義務を守ること
(3)本業に支障が出ない、健康管理上問題のない業務量であること
(4)会社の名誉を棄損するような仕事でないこと
 

 利益相反や機密保持が製薬会社としては最も神経質になる事項だといい、誓約書を兼ねた副業申請書を提出させる。また、業務量や副業の目的に関しては、上司としっかりとした話し合いを求めている。

 ポイントは、職種制限をはじめとした細かな規定は作らず、原則となる判断基準のみを示しているということだ。その理由を「細かなケースを挙げはじめた途端、そのリストに当てはまるかどうかだけを考え、社員やその上司がそこで思考停止してしまうからです。リストにあるかどうかでなく、この原則に抵触しないか、自分の頭で考えてほしいということです」と萩原氏は説明する。

 現在、このガイドラインに沿って副業をしている社員は数十人。最も多いのは、業務に関する専門知識を生かした大学での非常勤講師やセミナー講師などだ。趣味に関するものは、スノーボードのインストラクター、イベント通訳、ワインソムリエ、料理本の執筆、音楽イベントのプロデューサーなど、バラエティに富んでいる。

 さらに、ベンチャー企業の研修制度設計の仕事、NPOで防災関係のセミナーインストラクターなどが挙がる。職種制限はないというが、社員が自身のスキルを生かしたと思われる高度な仕事がほとんどだ。

40日分の休暇の分割取得も可能

 副業ガイドラインと同時に導入した長期休暇制度は、勤続1年以上の社員が既存の休暇制度とは別に、年間最大40日まで休暇が取得できるというものだ。取得理由は問わない。

 いわゆる「サバティカル休暇(理由不問の長期休暇制度)」だが、同社では「ディスカバリー休暇」と呼ぶ。そして、まとめて40日休暇をとることも、40週にわたって週1日休暇をとることができるのとしているのが特徴的だ。2016年度から試験的に導入し、すでに資格取得や大学院通学、海外ボランティアなどで15名程度が利用している。