かつてとは大違いの上海の青空

 日本滞在中、初対面の人に筆者が普段中国で暮らしていることを話すと、「中国の経済格差はどれくらい大きいのか?」という質問が最も多く寄せられます。そして、2番目に多いのが、「中国の大気汚染はどれほどひどいのか?」という質問です。

 中国の大気汚染に関するニュースは、一時期、日本でも大々的に報じられました。特に「PM2.5」という測定指標の言葉が頻繁に登場し、そのまま中国の大気汚染を表す代名詞になっていると言っても過言ではありません。

 そんなPM2.5ですが、最近の日本の報道では目にする機会がめっきり減ったように感じられます。では、現在の中国の大気汚染はどうなっているのでしょうか。

 今回は、特に大気汚染がひどいとして槍玉に挙げられていた北京市の現況を紹介したいと思います。

「PM2.5」とは?

 まず、「PM2.5」という言葉の意味を簡単に説明しましょう。

 PM2.5とは、大気中に浮遊する粒子径2.5μm(マイクロメートル)以下の微粒子を指します。主に硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)からなる微粒子で、自動車の排気ガスや工場や焼却炉の煤煙のほか、火山の噴煙などからも発生します。非常に小さな粒子であることから長く大気に浮遊し、風に運ばれて周辺地にも飛来するなど、広範囲にわたって影響を及ぼす特徴があります。

 PM2.5は世界各国で大気中の含有量に対して環境基準が設定され、大気汚染の度合いを測る指標として測定されています。