村上春樹氏、オウム13人死刑執行に「『反対です』とは公言できない」

村上春樹氏、オウム13人死刑執行に「『反対です』とは公言できない」。写真は村上春樹氏(2014年11月7日撮影)。(c)AFP PHOTO / JOHN MACDOUGALL〔AFPBB News

 このコラムでもすでにお伝えしてきた通り、2018年はスウェーデン・アカデミーのセクハラ問題でノーベル文学賞が出せなくなってしまいました。

 そのため、スウェーデン文学界と善意の読者による「ニューアカデミー」が「1回限りのノーベル代替賞」を作りました。

 このノーベル代替賞、本物ではないという意味で、以下「偽ノーベル賞」と記しますが、他意はありません。

 ところが、ノーベル賞とは縁もゆかりもない、ノミネートした「1回限りのノーベル代替賞」にノミネートされていた日本人作家が、あろうことかノミネートを辞退するという、前代未聞の挙に出ました。

 欧州知識層からは面白いことをする人だと見られています。

 賞を授与されたけれど辞退するケースは、いくらでもあるでしょう。例えばノーベル文学賞の受賞を辞退というより拒否した、フランスの哲学者ジャン・ポール・サルトルのケースがすぐに思い浮かびます。

 あるいは、そのノーベル文学賞を得た大江健三郎さんが、日本政府から授与を打診された文化勲章を辞退したことも、ご記憶の方が多いかと思います。

 これは、文化庁から「文化勲章を授与が決定しました」と打診されて、それに対して断りを入れたものであって

 「文化勲章にノミネートしたいと思うのですが・・・」

 「要りません」

 というような珍妙な話ではありません。どうして「ノミネート辞退」などという前代未聞の行動を取ったのか?