「はやぶさ」のイトカワ到着のイメージイラスト(提供:JAXA

 こんにちは、小谷太郎です。

 2018年10月、探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」にタッチダウン(着地)を予定しています。得られた試料と成果を携えて、はやぶさ2は2020年に地球に帰還の見込みです。これは大変難易度の高いアクロバティックなミッションで、世界がドキドキしながら成否を見守っています。

 はやぶさ2は、先輩ミッション「はやぶさ」の成功を受けて打ち上げられました。初代はやぶさは小惑星「イトカワ」の試料を2010年に持ち帰ったのでした。

 2018年8月7日、大阪大学の寺田健太郎教授、東京大学大気海洋研究所の佐野有司教授、高畑直人助教らの研究チームは、イトカワ試料の分析結果を『サイエンティフィック・レポーツ』誌に発表しました。

 初代はやぶさの持ち帰った試料は微細な鉱物の粒です。塵(ちり)か埃(ほこり)のような微粒子です。その塵粒子に、超高感度の元素組成分析、同位体比分析を施すことにより、イトカワが過去46億年間にたどった履歴が明らかになったのです。

 8年間におよぶ分析で明らかになったイトカワと太陽系の歴史を紹介しましょう。

はやぶさ1号の持ち帰ったもの

 初代はやぶさは、2003年5月9日(日本時間、以下同じ)に打ち上げられ、2005年11月20日と26日の2回、小惑星イトカワに着地を行ないました。(以下、混乱を避けるため、初代「はやぶさ」を「はやぶさ1号」と呼んで区別します。)

 着地中に、イトカワの地表に向けて弾丸を発射し、岩石の破片を採取するはずでしたが、弾丸は予定どおりには発射されませんでした。そのため、試料容器に岩石の破片が入っている見込みはほとんどなかったのですが、運がよければ、微量の塵か埃が紛れ込んでいるかもしれないと期待されました。