大統領随行団、その人選は、韓国政府にとっても産業界にとっても、重要な意味がある。

 一方で、「こういう形で、産業界を圧迫することがいつまで続くのか」(大企業役員)という嘆きの声もある。

経済制裁中に何の話をするのか?

 今回の、経済人の訪朝だが、当初は、実現するのか疑問の声もあった。というのも、北朝鮮に対する国連の経済制裁が続いているからだ。

 米国は、制裁の厳格化を打ち出して中ロをけん制している。そんな中で、経済人を派遣して良いのかという指摘も少なくなかった。

 それでも、経済人の訪問が決まった背景には、北朝鮮側からの強い要請があったからだという。

 経済人随行員たちは、副首相などと面談もする。

 北朝鮮から何らかの経済協力に対する要請があったとしても、制裁が続く以上は企業としてはこれを受け入れるわけにはいかない。

 「北朝鮮に協力して米国の制裁対象になったら、企業の存亡にかかわる。今回の訪問は、あくまで将来に向けての顔合わせ」(韓国紙デスク)以上の意味は見出しにくい。

 さらに、「将来、経済協力が実現しても、まずはインフラ整備など、政府主導の事業からで民間企業の出る幕はどこまであるのか」(大企業役員)との見方もある。

 「北朝鮮から何らかの協力を強く迫られた時、どう対応すれば良いのか?」。こんな心配を口にする経営者もいる。

 9月18日午前。大統領と随行団を乗せた特別機は平壌に向かう。