(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年9月12日付)

米朝首脳会談、シンガポールが開催場所に選ばれたのはなぜか?

巨額の貿易黒字を続けるシンガポールは世界指折りの為替操作国の一つ。写真は高級複合施設マリーナ・ベイ・サンズから見た高層ビル群(2016年9月22日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ROSLAN RAHMAN〔AFPBB News

 「貿易で我々からぼったくっている」

 外国人についてドナルド・トランプ大統領が不満を口にするとき、その言い分には一理ある。まさにそういう行動を取っている国は存在する。

 しかし、大統領が追求している関税や取引は、いわば幻影である。リアルでシャープなのは、為替操作という行為だ。

 1990年代と2000年代には多くの国が――とはいえ、最も目立っていたのは中国だった――多額の貿易黒字を計上するために自国通貨を押し下げていた。

 そのツケは、米国の(そして英国の)貿易赤字という形で払われた。為替操作国の行動は西側諸国の製造業の衰退を促進し、2008年の世界金融危機の一因にもなった。

 為替操作を行っている国は今も存在する。これをやめさせることは、世界の貿易不均衡に対抗する優れた方法になるだろう。

 トランプ氏が次々に関税戦争を始めていることは、二重の意味で望ましくない。

 関税戦争には効果がないうえに、目の前には、新たな同盟を立ち上げて為替操作に対抗し、これを永遠に終わらせるまたとないチャンスが転がっているからだ。