電力自由化で大停電は増える

 大停電の責任は第一義的には北電にあるが、上のような事情を考えると、彼らの経営努力にも限界がある。泊原発が動かせないのは、2012年に定期検査が終わった後も、安全審査が終わらないからだが、これには法的根拠がない。原子力規制委員会も「再稼動の審査はしていない」と国会で答弁している。

 泊原発の場合は、発電所の近くに「12万~13万年前以降に動いた断層」があるかどうかをめぐって不毛な論争が続いているが、これを棚上げして北海道の高橋知事が再稼動に同意すれば、運転開始は2カ月ぐらいあれば可能だ。

 これは2012年に野田政権が大飯原発3・4号機の再稼動でやったことだが、安倍政権は「安全審査に合格して地元が同意しないと再稼動しない」と約束したため、身動きが取れない。こういう状況を生み出したのは民主党政権だが、それを5年以上放置している安倍政権の責任も重い。

 長期的には、大停電が増えることは避けられない。今まで日本で停電が少なかったのは、電力会社が地域独占の代わりに供給責任を負ってきたからだが、電力自由化でそういう時代は終わる。今は過渡的な状態だが、2020年には発送電が完全分離され、発電会社は供給責任を負わなくなる。

 いま電力会社が送電網を増強しても、発電と分離されたら回収できないので、インフラに投資するインセンティブがない。それでも北電は来年、石狩新港発電所を稼働する予定だが、人口の急速に減少する北海道で、それ以上インフラ投資しろというのは無理だ。

 発送電分離を進めたアメリカのカリフォルニア州では、発電業者が大量に参入する一方、送電会社が設備を増やさなかったので大停電が頻発した。いまだにカリフォルニアの停電時間は年間130分。それに対して日本の停電時間は21分だが、日本も大停電時代になるだろう。

 割り切って考えれば、大停電してもしばらく不自由な生活をするだけだ。病院など生命に関わる施設は、自家発電や無停電電源装置などの自衛策をとればいい。大停電はそういう「自由化のコスト」と考えるしかないが、日本人がそれに慣れるには時間がかかるだろう。