電力供給が消費を大きく下回ったのは、電力供給の半分以上を苫東厚真に頼っていた北電にも問題があるが、泊が動いていればこんな片寄った運用にはならなかった。泊の3基のうち1基が定期検査で止まっていたとしても110万kWは供給できたので、地震で停止しなかった火力と合計して、電力供給には十分余裕があった。

 電力危機はまだ続いている。北電は「苫東厚真の全面復旧は11月ごろになる」というが、そのころ北海道には雪が降り始める。冬の最大消費電力は525万kWで、北電の最大供給量580万kWしかない綱渡りだ。この状態で1つでも発電所が落ちると、また大停電が起こる可能性がある。真冬の北海道で大停電が起こったら、多くの凍死者が出るだろう。

「東京大停電」は起こるか

 これは北海道だけの問題ではない。首都圏の電力供給の90%は火力発電で、14基の火力発電所のうち12基が臨海部に集中している。東京湾に直下型地震が起こったら、首都圏も大停電になる可能性がある。その場合には、日本の中枢機能も麻痺するだろう。

 そういう事件が起こったことがある。1987年7月23日、東京の猛暑で東京23区で大停電が起こり、国会の予算委員会が中断された。これは冷房需要が急速に伸び、1分間に40万kWも電力需要が増えたためだった。

 東電の電力供給は北電の10倍以上あり、他の電力からも融通できるが、首都圏の電力使用量も綱渡りだ。次の図のように今年(2018年)1月26日には、大寒波と大雪で電力使用量が最大発電能力の95%になり、融通でしのいだ(東電調べ)。

 このとき「原発がなくても電力は足りてるじゃないか」という人がいたが、こんなぎりぎりの運用を足りているとはいわない。大きな火力発電所が落ちると、大停電になるおそれがある。

 2011年の福島第一原発事故の直後に大停電にならなかったのは、負荷を遮断して需要を大幅にカットしたからだ。このときは柏崎刈羽原発(総出力821万kW)も動いていたが、今はそれが止まったままだ。柏崎刈羽の6・7号機は、安全審査に合格した後も再稼動できず、福島第一・第二原発は廃炉になった。