サウジアラビアの政治体制をさらに動揺させる原油安

ムハマンド皇太子への生前譲位は成功するのか?

2018.09.14(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54094
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 米国は2000億ドル相当の中国製品に追加関税を課すための手続きを既に終えているが、トランプ大統領は「さらに2670億ドル相当に追加関税を課す用意がある」と語るなど米中貿易戦争の終わりが見通せない状況が続いている。

 米国の金融正常化が新興国バブルを崩壊させるとの懸念も強まっている(8月31日付日本経済新聞)。米国の金融正常化により、新興国から先進国への資金還流が大規模に生じているため、新興国の通貨や株価の下落が止まらないからだ。

 中国の不動産市場に目を転じると、いよいよバブル崩壊が始まったようである(8月30日付ロイター)。マクロ経済の悪化で開発業者が流動性の減少や利ざや縮小に見舞われているため、金に糸目を付けずに土地が買い漁られていた昨年から状況が一変し、地方政府が行う土地使用権入札は、7月以降大都市を中心に不成立が急増している。インドも通貨ルピー安から経常収支の赤字が過去5年で最大に拡大するなど苦境に陥っている(9月10日付ブルームバーグ)。

 リーマンショック後の世界の原油需要拡大を牽引してきた中国をはじめとする新興国の経済が変調をきたせば、世界の原油需要が減退するのは「火を見る」より明らかである。

シェール企業が引き起こしかねない金融危機

 世界の原油価格を押し下げる恐ろしい要因も頭をもたげ始めている。

 筆者は2014年後半以降の原油価格急落は、2013年後半から米国のベースマネー(現金と金融機関が中央銀行に預けている当座預金の合計)の伸びが急速に鈍化した(40%増から1%減)ことにより生じたと考えているが、足元の米国のベースマネーの伸びも急速に減少している。米FRBは昨年後半から保有する米国債を約1500億ドルも削減したことから、ベースマネーの伸びが18%増から10%減となっている(経済アナリストの市岡繁男氏)。原油価格はイランファクターなどで維持されているが、これが剥落すれば一気に下落する可能性がある。

 2015年から2016年にかけて、原油価格の下落によって100社以上のシェール企業が倒産した。今回は金融正常化による資金繰り悪化も重なる。シェール企業はリーマンショック後の10年間にわたる超金融緩和の恩恵に浴したが、依然、財務状態は健全ではない。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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