三原 当時は、派遣の方もフルタイム(8時間×週5日)が当たり前でした。そのため、当初はコストソリューションとして提案していました。。フルタイム1人分に満たない業務量なら、業務量に応じた時短の労働力を利用して無駄を省きませんか、という提案です。

 それが、「しゅふJOBエグゼクティブ(現スマートキャリア)」を立ち上げた2012年ごろには、「生産性」を強調したパフォーマンスソリューションを提案できるようになってきます。女性の総合職採用が一般的になるとともに、出産後も仕事の継続を希望するハイキャリアの既婚女性が増えてきたという背景があります。

 スマートキャリアには、時給3000円以上という、派遣としては高い金額設定の仕事や短時間正社員の仕事もあります。クライアントへは、同じ仕事であれば非常に優秀な方に6時間働いてもらったほうが、そうではない方に1日8時間働いてもらうより生産性は高いですよ、という提案をしています。

 分かりやすい例でいえば、エクセルマクロを知らない人が丸一日かかる集計も、知っている人ならば1時間もかからず作業を終えられるということです。後者の方が短時間勤務するほうが、生産性が高いのは当然です。
 
 また、「資料を作る」という仕事にしても、考える時間や直す時間のほうが長くかかるものです。短時間で考えいつも上司から一発OK出るような資料を作る方と、長時間考え抜いたあげくに何度もやり直しを指示される方では、生産性がまるで違います。

 我々もクライアントもびっくりするほど優秀な方が多くいるため、こうした「生産性」を強調した提案を受け入れてもらえる企業は増えました。とくに新興企業では「時短」に対する抵抗感は感じません。

 それだけ人手不足というのもありますし、本当に簡単なルーチンワークはIT化されたり、アウトソーシングされたりするなかで、労働時間と成果が比例しないクリエイティビティや問題解決のスキルを、企業が求めるようになったということも大きいでしょう。

 本来、「成果」で評価すれば、労働時間は関係ありません。成果を評価することが世の中にもっと浸透してほしいと思います。