インドネシアは日本に劣らぬ「発酵食品」大国だった

ジャカルタとボゴールのわんさか食紀行

2018.09.07(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

バナナの葉に包んで発酵を促す

奥の白い食品がテンペ。手前の色のついた食品がオンチョム。(吉江由美子氏撮影)

 日本でもテンペは健康食品として注目され、たまにスーパーマーケットなどで見かけることがある。こちらではよく食べられるがゆえ、たくさん売っている。市場では、見たことのある白いテンペのほかに、バナナの葉につつまれたものやオレンジ色のもの、黒いものもあった。

 伝統的なテンペの作り方は、ゆでた大豆をバナナの葉に包んで発酵させるというもの。バナナの葉にもともといるクモノスカビを利用していたそうで、日本の納豆の「わらづと」に似ている。

「テンペに似たオレンジ色や黒いものは『オンチョム』というのですよ」と、私たちを市場に案内してくれたボゴール在住のジョコさんが説明してくれた。ジョコさんはボゴール農科大学で水産学を教える先生だ。

 オンチョムの作り方はテンペとほぼ同じだが、原料にはラッカセイの油をしぼったあとの粕やオカラ、キャッサバ粕などを使う。これらは繊維が多くて消化されにくいため、おもに飼料にされていたが、発酵させることにより消化がよくなるため食用になった。これらの原料をアカパンカビで発酵させるとオレンジ色のオンチョムに、クモノスカビで発酵させると黒いオンチョムになる。

 テンペもオンチョムも同じように食べるというが、ジョコさんの研究室の学生であるタリさんやリダさんは口をそろえて、「バナナの葉に包まれたテンペが好き」という。外国人にとっては同じように見えるテンペやオンチョムも、地元の人にとってはそれぞれ好みがあるらしい。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


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