(英エコノミスト誌 2018年9月1日号)

米シリコンバレー周辺で急速な地盤沈下、洪水リスク倍増も

米カリフォルニア州サンフランシスコ(2015年10月9日撮影)。(c)AFP PHOTO / Josh Edelson〔AFPBB News

ハイテク業界の中心地としてのシリコンバレーの卓越した地位がぐらついている。これは懸念を抱くべき理由だ

 「ルネッサンス時代のフィレンツェのようだ」――。

 これはシリコンバレーでの暮らしはどんな感じなのかを説明するときによく使われる表現だ。

 米国の技術の首都であるシリコンバレーは、世界の経済や株式市場、さらには文化にも特大の影響力を及ぼしている。サンノゼからサンフランシスコに至るこの狭い地域には、世界の株式時価総額上位5社のうち3社が本社を構えている。

 アップル、フェイスブック、グーグル、ネットフリックスといったハイテク業界の巨人はすべて、シリコンバレーが発祥の地であり故郷であると述べている。

 民泊仲介のエアビーアンドビー、電気自動車のテスラ、配車サービスのウーバーといった先駆的な企業も同様だ。サンフランシスコ湾周辺地域「ベイエリア」の経済規模は世界第19位で、スイスやサウジアラビアをも上回っている。

 シリコンバレーは単なる場所ではなく、概念でもある。

 80年近く前、ビル・ヒューレットとデビッド・パッカードがガレージで事業を興して以来、この土地はイノベーションと独創性の代名詞となっている。

 シリコンチップ、パソコン、ソフトウエア、インターネットサービスなどでは、シュンペーター的な意味での破壊と再生のサイクルの中心になっている。