(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年8月31日付)

米株、強気相場の最長更新 連続3453日

米ニューヨークで、強気相場(bull market)を象徴する雄牛(bull)の銅像と並んで写真を撮る人(2010年5月25日撮影)。(c)AFP PHOTO / GETTY IMAGES NORTH AMERICA / SPENCER PLATT〔AFPBB News

 世界金融危機の遺産は、市場経済の見直しでもおかしくなかった。「何でもあり」という風潮が、「誰もが利益を得る」に少し近い風潮に道を譲っていた可能性もある。

 市場暴落の後に聞かれた説得力のある演説や大胆な約束――バラク・オバマ氏、ゴードン・ブラウン氏、アンゲラ・メルケル氏などの姿を思い浮かべてほしい――は、まさにそのような期待を抱かせた。

 ところが、我々が結局手に入れたのは、ドナルド・トランプ氏であり、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)であり、近隣窮乏化を厭わないナショナリズムだった。

 2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻を機に始まったプロセスは、大きな敗者を生み出した。自由民主主義と開かれた国境という2つの概念だ。

 民間銀行の幹部、中央銀行の幹部、規制当局者、政治家、エコノミストなど、危機の元凶になった人たちは、自分のせいではないと肩をすくめるばかりだった。

 世界は明らかに変わった。しかしその変わり方には、本来なら知性ある改革の特徴になるような秩序や体系がなかった。

 所得の伸び悩みと緊縮財政が10年間続いた以上、金融危機の経済的影響から最も大きな打撃を被った人々が、エリートに反旗を翻すポピュリストの台頭を支持することは決して意外なことではない。

 豊かな国々では人口のかなりの部分が、レッセフェール(自由放任)の経済や、グローバル化という開かれたフロンティアを拒むようになっている。