【4】価値観が共有できない

 若手社員の大きな悩みの1つに「会社の価値観に合わない」というものがある。会社の方向性やビジョンという類いのものよりも、飲み会に強制参加させられるなど職場の文化のほうが受け入れるのは大変かもしれない。体育会的な職場に合わないという人も多いと思う。

 ただし会社には会社ごとの「ルール」があり、組織の一員として働く以上はそれに従わなければならない。その組織に長きにわたって所属する意思がある場合は、なおさらである。例えば、「飲み会には参加しなければならない」「新人は忘年会で一発芸を披露しなければならない」といったルールがあるならば、それに従うべきである。組織の中にルールを守らない人間がいると、組織として機能しないからだ。

 私はルールの存在が分からないまま新卒で会社に入ってしまったため、組織から排除された経験を持っている。今でこそ、どんな組織にもある程度のルールはあるということは認識できるが、新卒当時の私は「なぜ私は組織で浮いてしまうんだろう」と真剣に悩み、最終的には退職の道を選んだ。もし早めにルールの存在に気づき、それに従っていたら、今もその組織に留まっていたかもしれない。

 上司・先輩としてできることは、その「ルール」を入社してから間もない時期に教えてあげることだ。上で紹介したような「ルール」は、組織に早く馴染むための通過儀礼の要素が強いので、まずはそれに従うよう促す。もちろん、常識外れな「ルール」はこの限りではない。セクハラ発言が横行する会社や、新人に掃除を押し付けるような「ルール」がある会社もあるが、それはごく一部の会社。そういったブラックな会社には将来性も薄く、淘汰されていく可能性が高いため、社内風土の見直しも視野にいれるべきだ。

【5】仕事を押し付けられる

 若手にやたらと仕事を押し付ける会社も考えものだ。なぜか雑務ばかり押し付けられる新人を見たという人もいるかもしれない。「仕事がひと段落してそろそろ帰ろうと思ったら仕事を振られた」「今日はプライベートの用事があるので早めに帰りたいのに雑用をやらされる」といった若手の悩みを聞いた経験のある方もいるのではないだろうか?

 しっかりと育成しようとして仕事を任せているのであれば問題ないが、「新人や若手に人権はない」と決めつけて仕事を振っているようであれば厄介だ。そういった職場がないことを祈りたいが、残念ながら存在する。あまりにも新人育成の方法が目に余ると感じたら、会社の人事部・人材開発部に連絡して相談するべきである。育成とシゴキは紙一重な部分があり、なかなか見分けるのは難しいが、新人が悩んでいるのであれば早く手を打ったほうが良い。