上司や先輩ができることとしては、「5年後、10年後にどうなっていたいか」を話す場を設け、その将来像に近づくために逆算して「今何ができるのか」を洗い出してもらうよう指導することだ。

 また、後輩から見て理想の社員が職場にいれば、その社員にも同席してもらい、アドバイスしてもらう場を設けてみる。メンター制度が会社にあれば、その制度を活用するという方法もある。

 だが、若手をフォローする制度が整っている企業ばかりとは限らない。OJTという名のもとに現場に投入するまでは良いが、先輩社員がそもそも忙しくて教える時間がないため、後輩を放置してしまうというケースは少なくない。通常の業務を抱えて若手の育成に取り組むのは大変だとは思うが、若手の育成は「れっきとした業務」「自分のため」でもあると考え、しっかりと取り組みたいものだ。

【3】下積みの期間が長い

 私が取材で会った経営者のほとんどが「下積みの経験は役に立つ」と言う。私の周りにいる30代を見ていても、20代のうちに下積みを経験している人のほうが、しっかりとしたビジネススキルを身につけている。20代のうちは上司や先輩の意見に従って下積みを積むよう、あえて促すべきである。

 しかし、入社から何年も経っているのに雑用ばかりさせられている若手が多い職場は、会社の風土に問題がありそうだ。

 新人がさせられるものとして「電話応対」「掃除・片付け」などがあると思う。もちろん、電話応対から学ぶことは多い。ビジネスの基本的なスキルは電話応対のコミュニケーションから学べると言っても過言ではない。私は新卒で保険会社に入社したが、電話応対からその部署の「クライアント」と「関係する部署」を把握することができたし、先方に自分の名前を覚えてもらうことで、その後の仕事がずいぶん楽になった。

 しかし、電話応対を口実に「シゴキ」を行う会社・職場があるのも事実。恥をかかせるためにあえて電話に出させて精神を鍛えさせる、といった職場もあると聞く。大企業であっても、そのようなシゴキがないとは限らない。自分の後輩がそのような目に合っている場合は、せめて適宜フォローすることを怠らないようにしたい。