サウジアラビアはなぜアラムコのIPOを中止したのか

活発化する反皇太子派の動き、国内で未曽有の混乱も?

2018.08.31(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53923
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 貿易摩擦の悪影響が懸念され始めている中国ではキャッシュレス化が急速に進展しているが、このところ「ネット金融」の破綻が相次いでいる。個人間で資金を融通する「ピア・ツー・ピア(P2P)融資」サイトに投資して損失を被った人々が中国全土で怒りの声を上げるなど大問題に発展している(8月15日付ロイター)。

 この問題を4年前に指摘していた中国の経済学者が8月22日、「米中貿易戦争を今後2カ月以内に解決しなければ中国経済は崩壊モードに突入する」との警告を発した。

 2000年に世界の原油需要の6%のシェアに過ぎなかった中国は、現在13%を超える規模となっている。中国の原油輸入量は既に減少傾向にあるが、経済自体が急減速モードに入れば、世界の原油価格に与えるインパクトは計り知れないものになる。

 2014年後半以降の原油価格は、世界の原油需給が緩んだことから1バレル=50ドルを下回り、その後の協調減産などで需給調整を行ったことで70ドルを超えた。この傾向が正しいとすれば、足元の需給は緩みつつあるので原油価格は9月中に1バレル=60ドル台前半に下落し、その後の中国経済の動向次第では50ドル割れになる可能性がある。

「巨額の財源」を失ったサウジアラビア

 7月中旬から始まったダウントレンドを反転させる要因は新たな地政学リスクの発生しか考えられないが、サウジアラビアの雲行きがますます怪しくなってきている。

 8月22日付ロイターは「サウジアラムコの新規株式公開(IPO)の計画中止が決定された」とのスクープ記事を報じた。関係筋によると、サウジアラムコは石油化学大手サウジアラビア基礎産業公社(SABIC)の過半数株式の取得を目指しており、これに注力するために、IPOに向け準備を進めていたファイナンシャルアドバイザーのチームは6月下旬に解散したという。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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