自衛隊の追求する南西諸島防衛は、見事に米国の戦略と合致したのである。

 ただし、護衛艦の対艦ミサイルの射程は短いため、役割とすれば南西諸島の太平洋側で機動的に「阻止の壁」を埋めることしかできない。

 また、空自の対艦ミサイルは陸の静的なミサイルと連携して決定打となり得るが、航空優勢の帰趨次第では決定的な時期と場所にミサイルを集中できない欠点がある。

 結局、地上発射型のミサイルが確実に生き残り、攻撃の基点になるということである。これは机上の空論ではない。

 従って、日本に島嶼部からの長射程の対艦、対空の壁を作られることは、中国にとっては致命的であり、このため、米国とことを構えるときには、日本の意思に関係なく中国が必要と考える南西諸島の島嶼群には、地上部隊による中国軍の侵攻があると考えるのが当然である。

 中国は、南シナ海の人工島に対艦・対空ミサイル、電子戦部隊を配置しいている。

 そのままの態勢を東シナ海にも作り、自由に南西諸島やバシー海峡を抜け艦艇、航空機を太平洋に進出させ、直接、東京を攻撃したり、グアムを攻撃できるようにするのが中国の野望である。

3 有事の現実を見据えた防衛態勢の構築

 今まで日米の戦略・作戦から、いかに陸自が重要な位置にあるかを説明してきたが、ここでは少し視点を変え、有事の現実を見据えた防衛態勢の構築について述べることとする。

(1)平時と有事の日本の防衛態勢は全く異なることを理解すべきだ。

 すなわち、平時、海空自は東シナ海や日本海を自由に飛び、警戒監視を実施しているが、有事は無人機や潜水艦などを除き、海自の艦艇や空自の戦闘機は東シナ海に入ることすら困難であろう。

 入れば即、決戦である。米軍が大きく態勢変換をするならば、海空自のみで緒戦を戦い抜くことは困難である。

 それも2か月程度の日本にとっては長期戦である。唯一、展開できた陸自が緒戦は全力で戦い、海空自や米軍の戦う土俵を作り、その行動を支援することになる。

 イージスアショアを陸自が装備化することは正解であるが、機動性のあるBMD能力も必要であり、戦いにおいては静と動の組み合わせこそ重要である。