環境性とストーリー、電気選びで問われる時代に

グローバル企業の相次ぐRE100への加盟やPPAの動き

2018.08.28(火) 稲垣 憲治
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53875
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米国では、需要家が自ら発電事業に関与

 米国では、大量の電力を使用する企業自ら再生可能エネルギー発電に関与する取り組みが広まっている。

 これは、PPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)と呼ばれるもので、電力の需要家と再生可能エネルギー発電事業者とが15~20年程度の長期契約を結び、発電事業者が発電設備を建設する際に需要家が資金提供などをすることが特徴だ。

 再生可能エネルギー発電事業者にとっては、電力市場の動向に左右されず安定した価格で売電でき、長期の電力購入契約を基にプロジェクトファイナンスによる融資を受けやすいなどの利点がある。また、需要家にとっても、電力料金の将来の変動リスクを回避でき、再生可能エネルギーを利用しているという証書を得られるメリットがある(再生可能エネルギーが、火力発電などと比べても、経済的な競争力を有することが前提にある)。

 日本では現在のところPPAの実施例はほとんどないが、再生可能エネルギーの経済性がさらに高まれば、RE100企業などを中心にPPAの動きが始まり、需要側からの後押しによって再生可能エネルギーがさらに拡大することが期待される。

 企業における再生可能エネルギー電気選択の背景には、環境・社会・企業統治を重視するESG投資の拡大など、おそらくは不可逆と思われる大きな流れがある。環境を重視しない企業にはお金が集まらない構造ができつつあり、今後ますます電気選択を始めとした環境経営の重要性は増していくと思われる。

 以前までは、電気は選ぶものではなく与えられるものだった。一方、分散型電源である再生可能エネルギー拡大や一連の電力システム改革によって、電気の中身を選ぶという選択肢が生まれた。今後、電気の環境性やそのストーリーにこだわった企業が増えることが期待される。

<環境性能の高い電気調達の参考>
・企業・自治体向け電力調達ガイドブック(2018年1月自然エネルギー財団)
・パワーシフトキャンペーン http://power-shift.org/(国際環境NGO FoE Japan運営)

*本原稿は京都大学プロジェクト研究員としての調査・検討の過程で考察した個人的見解などであり、所属する団体の見解などを表すものではありません。

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(いながき・けんじ) 文部科学省原子力計画課などを経て、現在、東京都庁環境局職員。5か国10都市で先進都市の再生可能エネルギー普及策を現地調査。環境・エネルギーへの思いが高じて業務時間外に京都大学プロジェクト研究員としても活動中。自宅の電気は、もちろん再生可能エネルギー(FIT)率の高い電気を使用。

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20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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