環境性とストーリー、電気選びで問われる時代に

グローバル企業の相次ぐRE100への加盟やPPAの動き

2018.08.28(火) 稲垣 憲治
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53875
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電気のストーリーにこだわる

 環境性のみならず、電気の産地やストーリーにこだわる動きもある。

 東京都目黒区では、東日本大震災の被災地である気仙沼市のバイオマス発電からの電気を、小中学校などの公共施設で使用している。このバイオマス発電を運営する気仙沼地域エネルギー開発(宮城県気仙沼市)は、地域の林業育成のため、地域間伐材を通常の倍の価格で買い取り、その買取価格の半額を地域通貨で支払うことで地域経済循環を図っている。

 目黒区と気仙沼市は友好都市協定を結んでおり、気仙沼産のサンマが振る舞われる「目黒のサンマ祭り」などを通して友好を深め、東日本大震災時には被災した気仙沼市に目黒区職員が派遣されている。このような連携の一環として、目黒区は気仙沼産バイオマス電気を購入し、気仙沼の復興を支援している。

 また、セレクトショップを運営するビームスは、都内3店舗において、みんな電力(東京都世田谷区)を通じ、福島県南相馬市にある太陽光発電からの電気を購入している。この太陽光発電所「野馬土プロジェクト」は、東日本大震災による被害で使用できなくなった農地に地元農家の方などが太陽光発電を設置したもので、売電収入は農業振興や地域再生の活動にあてられている。

 ビームスでは、福島県との協働発信プロジェクト「ふくしまものまっぷ」も実施しており、福島県産再生可能エネルギー由来の電気の購入とあわせ、福島復興の支援を行う。

 同じバイオマス発電でも、海外からパーム油やパーム椰子殻(PKS)を輸入して実施しているものもあれば、地域の間伐材を用いて林業再生にも役立っているものもある。同じメガソーラーでも、地域の反対の中で山林を伐採して造成するものもあれば、地元の人が力を合わせて地域で造られたものもある。物理的には同じ電気でも、そのストーリーは大きく異なる。

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(いながき・けんじ) 文部科学省原子力計画課などを経て、現在、東京都庁環境局職員。5か国10都市で先進都市の再生可能エネルギー普及策を現地調査。環境・エネルギーへの思いが高じて業務時間外に京都大学プロジェクト研究員としても活動中。自宅の電気は、もちろん再生可能エネルギー(FIT)率の高い電気を使用。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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