(英エコノミスト誌 2018年8月18日号)

E・マスク氏、激務による疲弊告白 テスラ株急落

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(2017年7月19日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / Brendan Smialowski 〔AFPBB News

しかし、テスラの非公開化計画は失敗する公算が大きい。

 起業家のイーロン・マスク氏がテスラを立ち上げた2003年当時の世界は、今のそれとは違っていた。

 まず、ドット・コム・バブル崩壊の爪痕がまだはっきり目に見えた(もっともマスク氏自身は、共同出資で立ち上げたペイパルを2002年にイーベイが買収したため、2億ドルを手にした)。

 自動車メーカーは排ガスと慢心をはき出していた。

 ゼネラル・モーターズ(GM)の従業員数は今の2倍にのぼり、クライスラーは当時のオーナーのダイムラーに搾取されていた。

 後にフィアットとクライスラーを救うことになるセルジオ・マルキオーネ氏は、スイスの工業試験所で激務をこなす無名の人物だった。

 テスラは2010年に株式を公開した。上場は当然の選択だった。

 この頃は、「ユニコーン(10億ドルの企業価値を有する株式非公開のハイテク企業)」などという言葉を誰も聞いたことがなかったからだ。

 当時の米国産業界では、息が詰まるような正統派の思考が幅を利かせていた。