スクラップブック事業も順調のように思えたが・・・。

 中国に渡ってからの15年間、留学から起業に至るまでの道のりを振り返っている。

【前回の記事】「新聞紙を破いて思いついた中国での画期的新ビジネス」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53282)

 中国で会社を立ち上げ、試行錯誤の末にたどり着いた翻訳業も、2003年のSARS流行を受け受注がゼロに。そんな絶望の中、娘と新聞を破って遊びながら思いついたビジネスが、苦境からの突破口となった。

軌道に乗ったクリッピングサービス

 SARSのほとぼりも冷め始めた頃、新しいビジネスをスタートした。新聞や雑誌に掲載されている日本企業に関する記事を切り取り、スクラップブックにし、お客さんに提出して、その作業代をいただくというサービスだ。

 2003年当時も日本企業の中国進出は盛んで、自動車業界スクラップブック、家電業界スクラップブック、化粧品スクラップブックなどがよく売れた。スクラップブックの売れ行きで、どの業界がいま中国進出に力を入れているかよく分かった。今でもこのサービスは細々と続けているが、2018年現在人気があるのは、化粧品、アパレル、飲食などで、時代の移り変わりが分かって面白い。

 子供と遊びながら思いついたこのサービスは、個人的には「画期的!」と最初は思っていたものの、実はよくあるクリッピングサービスで目新しいものではなかった。だが、それでも当時はそこそこ需要があったので、翻訳以上にたくさんのお客さんからお呼びがかかった。

 お客さんからの注文が入るたびに新聞や雑誌を購入する。中国の郵便局には、新聞や雑誌のバックナンバーを購入することができるサービスがあったので、これを利用して一度に大量の新聞や雑誌を買っていた。あまりに大量に注文するので、郵便局の係の人と顔なじみになり、一年後にはお得意様になることができ、なぜか担当の中国人からご飯をおごってもらったりした。