電通関西支社のコピーライター、日下慶太氏。「新世界市場」商店街(大阪市浪速区)のカフェ&多目的空間「ピカスペース」にて

 地方の危機が叫ばれて久しい。止まらない過疎化と経済の衰退──。このまま地方は凋落の一途をたどってしまうのか? しかし、日本各地の地域おこしに携わってきたクリエーター、日下慶太氏には違う景色が見えている。「東京中心」の視点では気が付かない地方の面白さと新しい動きとは。

レトロ商店街に登場した「おもろい」ポスター

 大阪のシンボル、通天閣のすぐ脇に「新世界市場」というアーケード商店街がある。「おしゃれ」や「洗練」という言葉とは程遠い、昭和時代のまま時間が止まってしまったような商店街だ。良く言えば「レトロで味のある」、ストレートに言ってしまえば「時代遅れの古ぼけた、ぱっとしない」商店街である。

 2012年、この商店街が一躍脚光を浴び、大勢の客が押し寄せてくるようになった。お目当ては「ポスター」だ。

 商店街のお祭り「セルフ祭」の企画の1つとして、商店街のさまざまな店のポスターが作られ展示された。それらのポスターが、“普通”ではなかった。ポスターに登場するのは、タレントやモデルではなく店主たち自身である。ダジャレあり、自虐ネタあり、エロネタあり、ブラックユーモアあり。とても“上品”とは言い難い庶民的なエネルギーが渦巻き、それでいて店主の人柄や商売の苦労・喜びがじんわりと伝わってきて、ときにはホロリとさせられる。雑誌やネット、テレビがそれらのポスターをこぞって取り上げ、一気に拡散。ポスターを見るためにどっと人が押し寄せてきたのだ。

新世界市場に掲示されている中山菓舗のポスター群
「このポスター 金ないから タダでつくらせとるんや」新世界市場
「おっ茶ん。」大北軒
「買わんでええから会いに来て」生田綿店