この席で、サムスンは、大規模投資雇用拡大計画を発表する予定だった。投資額は100兆ウォン以上。雇用も過去最大規模になることで調整していた。

 ところが、こんなシナリオが伝わると、相次いで批判の声が上がった。それも、文在寅政権の支持基盤である市民団体や進歩系学者などからだった。

 「文在寅政権は、経済民主化や財閥改革を掲げて誕生した。さらにサムスンは過去の間違った政権を不正に支援した。経済がちょっと悪いからといって、サムスンに擦り寄って投資や雇用拡大を求めるのはけしからん!」

 こういう批判だった。

副首相の工場視察時の発表は見合わせに

 韓国メディアは、「所得主導成長論」を主張する青瓦台(大統領府)のラインと、より現実的な政策への転換を求める金東兗経済副首相ラインの間で不協和音があるとも報じた。

 また、裁判を前に、サムスンが政権の顔色を見て投資計画を作っているとの見方も出ていた。

 金東兗副首相は6日、予定通り、サムスンの半導体工場を訪問した。しかし、すでに準備済みといわれる投資、雇用の発表はなかった。

 結局サムスンは、2日後の8日になって投資、雇用計画を発表した。金東兗副首相の訪問に合わせた発表を避けたのは明らかだった。

 発表内容をどう見るか。

 3年間で180兆ウォンの投資は確かに巨額だ。180兆ウォンのうち25兆ウォンをAI(人工知能)、バイオ、5G、自動車など新規事業に投じるが、やはり全体の6割は半導体に投資する。

 海外投資ばかり増やすのではないかという懸念を意識して180兆ウォンのうち130兆ウォンは国内で投資することも表明した。

 新規雇用も4万人でこれまでで最大規模だ。