ヨーロッパの中でみたベルギーリーグの現在地

 中小クラブにとって「ベルギーリーグで優勝する」という目標は現実的ではない。しかし、「プレーオフ1」なら頑張れば手の届くところにある。ベルギーリーグにはステジアムの老巧化という欠点があるが、中小クラブのスタジアムに対する投資意欲が高まり、2009年にSTVVがスタジアムを多目的複合施設にした。それから暫く時間が経ってアントワーペン、オーステンデ、メヘレン(今季は2部)が改修によりスタジアムのメーンスタンドを近代化している。ズルテ・ワレヘムもゴール裏の観客席を立派なものにした。「G5」のすぐ後ろにある椅子を、虎視眈々と狙う彼らの息遣いが聞こえてくるようだ。

 STVVの立石敬之CEOは「3年以内にチームをプレーオフ1に。やがては、STVVをプレーオフ1の常連クラブにしたい」と野心を隠さない。
 多くの選手にとって夢見るのはCLの舞台だが、下位クラブで戦う選手にとって、先ず目指す舞台は「プレーオフ1」となる。オイペンの豊川雄太は「自分としても、あそこでプレーしてみたい」と「プレーオフ1」への憧れを口にしていた。

ベルギー、準々決勝ブラジル戦は「失うものない」挑戦者の立場で

ロシアW杯で過去最高の成績を収めたベルギー代表の面々。多くはベルギーリーグからビッグクラブへと旅立っている〔AFPBB News

 また中堅リーグのベルギーリーグは、選手を採る側としても、選手を送り出す側としても、ヨーロッパのサッカーピラミッドに組み込まれている。
 加えて、近年は「育成」→「ベルギーリーグでの活躍」→「ビッグクラブへのステップアップ」というサイクルが、うまく回っている。今夏のW杯でベルギー代表は同国史上最高の成績を収めた。W杯最優秀GKクルトワは、MFデ・ブルイネ同様、ヘンクの育成出身の選手だ。

 アンデルレヒトの育成で育った選手も多くW杯で活躍したが、中でもティーレマンスはシンボル的な存在だ。16歳でトップチーム昇格を果たした早熟の天才は、テクニックのみならず、ベルギー育成のテーマである「賢さ」も持ち合わせたMF。現在モナコで活躍する彼は、ベルギー代表のロベルト・マルティネス監督から「未来枠」としてW杯メンバーに招集されたが、実際に大会が始まってみると、試合を締めくくる大事な場面で使われ続け、3位決定戦では先発として抜擢された。

ロシアW杯のベルギー代表メンバーとベルギーリーグ在籍歴(所属クラブはW杯時。編集部作成)

 ヘントはスイスリーグでプレーしていた久保裕也(ヤング・ボーイス)を、ベフェレンはポーランドでプレーしていた森岡亮太(ヴロツワフ)を、しっかり調査して即戦力にした。また、豊川の同僚、ワケ(セネガル代表)はW杯の活躍もあって瞬く間にバルセロナへとステップアップしていった。

 ベルギーでプレーする7人の侍のうち、誰がいち早くステップアップを果たすのか、興味は尽きない。