ジカ熱による出生異常、2013年ごろのウイルス変異が原因か 研究

男性の足にとまる蚊(2016年1月25日撮影、資料写真)。(c)AFP/YE AUNG THU〔AFPBB News

北海道の遅れたワクチン対策

 私は、北海道出身の看護師であり、東京都で勤務している。先日、初めて日本脳炎ワクチンを接種した。

 「なぜ、今頃になって日本脳炎ワクチン?」と不思議に思われる方も多いだろう。実は、私は今まで、日本脳炎ワクチンを接種していなかった。

 北海道において、日本脳炎ワクチンが法定接種の対象になったのは2016年だ。すなわち、北海道出身者のほとんどが、日本脳炎ワクチンを接種していない。

 北海道では、ブタから人に日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエカが生息していないと考えられていたため、日本脳炎ワクチンが長らく法定接種の対象外だった。

 しかし、日本脳炎の流行域でないことを理由に、ワクチンを接種しないという理論は、通用しない。主な理由は2つある。

 まず、グローバル化が進む昨今、生まれ育った地域で生涯を過ごす人は少ない。地元で生涯を過ごす人でも、旅行や仕事で移動するだろう。

 次に、温暖化の影響によって、コガタアカイエカの生息域が広がる可能性がある。実際に、ある研究は、道南におけるコガタアカイエカの存在を確認した*1

 北海道内の年平均気温は、1990年頃より急速に上昇し始め、1898年から2015年までの100年あたり約1.59度上昇している。生息域はさらに拡大していくだろう。

国内における日本脳炎の流行

 2017年、国立感染症研究所では、感染症流行予測調査事業において、全国各地のブタ血清中の日本脳炎ウイルスに対する抗体を赤血球凝集抑制法(Hemagglutination inhibition test: HI法)により測定し、日本脳炎ウイルスの蔓延状況および活動状況を調査した。

 ブタの日本脳炎に対する抗体保有状況は、2017年の速報(第1報から第12報)によると、一部未調査の地域はあるが、以下の結果であった。