このように試合を振り返ると、日本はベルギーに負けるべくして負けたと言える。「不思議の負け」ではないし、「惜しかった」で済ませられる問題ではない。

エルピーダの倒産を髣髴とさせる

 日本は2000年頃に、エルピーダ1社を残してDRAMビジネスから撤退した。そのエルピーダも、2012年にあっけなく倒産してしまった。

 その際、記者会見でエルピーダの坂本社長(当時)は、「経営破綻の原因は、(1)DRAM価格の下落、(2)歴史的円高、(3)東日本大震災の影響、(4)タイの大洪水の影響にある」と発言した。

 しかし、これらはすべて外部環境の変化である。経営者の仕事とは、常に変化し続ける外部環境に対して、何らかの手段を講じて対応することにある。

 坂本社長は、「エルピーダの倒産は外部環境の変化によるものであって、自分は悪くない」と言いたいのかもしれない。しかしそれは、「社長が社長たる仕事をしていない」ことを自ら暴露しているようなものである。今回のベルギー戦での西野監督の采配は、エルピーダを倒産させた坂本社長を髣髴とさせるのである。

 状況は刻々と変化する。変化する状況に、最善の手を打つ。それを怠れば、企業は倒産し、サッカーの試合は負けるということだ。どちらも、本質は同じである。

 次回は、W杯ロシア大会を、数値データを用いて定量分析する。今回のロシア大会では、ビデオアシスタントレフェリー(VAR)が導入された。それとともに、各国にタブレット端末が2台配布され、試合会場に設置されたカメラの画像データを分析したリアルタイムデータ(RTD)が、タブレット端末に送信されていた。要するに、W杯もビッグデータの時代を迎えているわけだ。今後は、RTDというビッグデータを有効活用した国が勝ちあがることになるだろう。

(つづく)

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