勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

 プロ野球のヤクルト、阪神、楽天などの監督を務めた野村克也氏は、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」ということを常々言っていた。

 この言葉の意味するところは、「運が味方をするなど、その勝因がよく分からないけれど、勝ってしまうことがある。一方、負けた時は、必ず負けにつながる原因があって負けるのであり、偶然負けたというようなことは無い」ということだ。

 筆者は、初戦のコロンビア戦は「不思議の勝ち」、きわどい状態で決勝トーナメントに進出できたことも「不思議の勝ち」、一時は2-0でリードしたが後半ロスタイムに逆転されたベルギー戦は「不思議の負けではない」と考える。

初戦も決勝トーナメント進出も「不思議の勝ち」

 まず、初戦のコロンビア戦は、「不思議の勝ち」である。試合開始3分で相手選手がペナルテイエリアでハンドの反則を犯して一発レッドカードの退場となり、香川真司のPKで早々に先制点をあげたからだ。前半39分に一度はコロンビアに追いつかれたが、後半、数的優位を活かして大迫勇也のゴールで逆転し、初戦で勝ち点3を得た。

「開始3分でレッドカード&PKで失点」というシナリオは、どちらの監督も想定していなかったはずで、筆者は「日本に神風が吹いた」と思ったほどだ。したがって、日本の初戦のコロンビア戦は、「不思議の勝ち」である。

 また、第3戦のポーランド戦で、日本は0-1で負けたが、勝ち点、勝数、得失点差、得点数で並んだセネガルよりイエローカードが2枚少ないことにより、決勝トーナメント進出が決まった。これも、一種の「不思議の勝ち」である。

 ポーランド戦は、日本が勝つか引き分ければ決勝トーナメント進出が決まる。たとえ負けても、同時刻に開催されるコロンビア対セネガル戦で、コロンビアが勝てば、日本が1次予選を突破する可能性があることが分かっていた。

 日本は、明らかに引き分け狙いの試合をしていたように感じられた。ところが、後半14分にポーランドに先制されてしまう。同時刻、コロンビア対セネガルは0-0だったから、このまま行くと日本の1次予選敗退が決まる。日本は、後半20分に、宇佐美貴史に代えて(今日は休ませるはずだった)乾貴士を投入する。何としても1点取って同点に追いつかなくてはならないからだ。

 ところが、その4分後の後半24分に、コロンビアが先制点を挙げ1-0とリードした。その時点で、日本はポーランドに0-1で負けても、イエローカードの2枚の差で、決勝トーナメントに進出できることになった。そこで、西野監督は、後半37分にフォワードの武藤善紀に代えて、(やはり今日は休ませるはずだった)キャプテンの長谷部誠をピッチに送り出し、「そのまま試合を終わらせろ」と指示を出した。