忙しすぎると近視眼的になりがちです。オセロで言うなら、目の前の相手の石をひっくり返すことしか考えられなくなるような状況が今の現場です。

 新しいルールやウルトラCを考えることではなく、「四隅」を押さえるような、成功ポイントをくみ上げて方程式(押さえ所やポイント)にして共有すれば、今の仕事も効果的かつ効率的に成果を上げられる組織に変わっていくのです。

 現場は現金なものです。現場にメリットがない改革は我慢して支えているだけなので、いつか無理がきますが、実際に仕事がラクに速く成果が出るようになれば社長に言われてなくても定着化し、改善し続けてくれるものです。経営トップのコミットと併せ、成果が出る方程式という道具を現場に渡していくのが働き方改革の成功の第一歩になります。

 では、オセロで四隅を取るような、成果が出る方程式の見つけ方を3つ解説します。

優秀な人に「普通の人との仕事の押さえどころの違い」を聞く

 学生時代は「カンニングはいけません」と教わりましたが、社会人になったら別です。優秀な人から仕事の成功の方程式を教えてもらい、その内容を組織で共有するのが仕事を成功に導く一番手っ取り早い方法です。これが第1です。

 ただポイントの押さえ方にコツがあります。優秀な人のやり方を聞くだけでは落とし穴に引っかかってしまいます。達人の領域にいる人というのは、「俺にはボールが止まって見える」という具合に、常人では到底理解できない表現やレベル感で話すことが多いからです。

 では、達人にはどう聞けばいいのか。仕事の成功の方程式を聞いた上で、「普通の人と違うポイントはどこでしょうか? 一番違うポイントから教えてください」と聞くといいでしょう。優秀な人と普通の人の違いが、この質問でハッキリします。

 普通の人は、優秀な人との仕事の進め方やコツの違いが分からないのですが、優秀な人はそこを知っています。その違いを聞き出した上で、普通の人と優秀な人との仕事の進め方を「段取り」、「P」「D」「C」「A」等、仕事のコアプロセスの流れに沿って分析し、アクションを併記します。その際に、キーになるアクションに「◎」など「力を入れる順番やウエイト」が分かる印を付けると、より効果的になります。一日の時間割・時間配分も合わせて作成するといいでしょう。

「普通の方は意外にマニュアル通りにきっちり。優秀な方は準備に時間をかけ、目の付け所はここ」というように、より立体的にその違いがハッキリし、組織内に普及させやすくなるのでお勧めです。

成功パターンを集めて共通項を見つける

 2つ目は、まずたくさんの成功パターンの事例を集めてみましょう。偶然を排除し、誰にも通用する成功の方程式を見つけることが目的です。

 次にその事例の要所を抜き出し、共通項を探っていきましょう。例えば、野球のピッチャーの成功の方程式は何でしょうか? そのキーとなる成功ポイントは何になるのか? すごいスピードボール? それともキレの良い変化球でしょうか? これらは要素のバリエーションの一つに過ぎません。

 成功したピッチャーに共通する成功ポイントは、「バッターのタイミングを外す」ことです。どんな強打者でも、タイミングが外され、自分のバッティングをさせてもらえなければ、凡打に終わる可能性は高くなります。