日本が見直すべき「水力発電」の底力

既存ダムの有効活用こそ日本文明存続のカギ

2018.08.09(木) 竹村 公太郎
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53762
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 ベルは、日本列島は山が多く、雨の多い気候であることに気づき「日本は豊かな水力エネルギーを保有している」「日本は水力発電で発展する」と演説している。

 日本列島はアジアモンスーンの北限にあって、さらに海に囲まれている。世界の同じ緯度の国々は、日本のように降水量は多くない。

 雨は太陽エネルギーである。太陽が海を照らし、海水が蒸発し、その水蒸気は上空で冷やされ雨となって陸に戻ってくる。この太陽エネルギーは無限にあり、量も膨大である。ただし、雨のエネルギーは単位面積当たりのエネルギー量は薄い。太陽光や風力など他の再生エネルギーと同じ欠点を持っている。つまり、雨のエネルギーを濃くする工夫をしないと、エネルギーとして使いものにならない。ところが日本列島の場合、「山」という地形がこの問題を解決してくれる。

日本列島は薄い太陽エネルギーを集める装置

 東京23区にいくら大量の雨が降ってもエネルギーにはならない。平らな土地を水びたしにするだけである。ところが、関東の丹沢山地や奥多摩に降る雨は谷に集まり、相模川や多摩川の水となって流れ落ちてくる。山々の谷には、大量の雨が自然に集められていく。つまり、日本の山岳が単位面積当たり薄いエネルギーの雨を集め、濃い密度の水流に変えていく。しかも、山々は標高が高く、集まった水流の勢いは強い。つまり、位置エネルギーがとても大きい。

 日本列島は平均すると68%が山地で、しかも列島の北海道から九州まで中央を脊梁山脈が走っている。太平洋側、日本海側を問わず、全ての土地が均等に川という水流のエネルギーに恵まれている。

ダムは太陽エネルギーの貯蔵庫

 雨と山岳地帯は自然が日本に与えてくれた恵みだ。しかし、雨の降りかたは極端に変動する。エントロピーが大きく使い勝手の悪いエネルギーなのだ。さらに、日本の地形は急峻で、降った雨はあっという間に海に戻ってしまう。大多数の河川の雨は、日帰りで海に帰ってしまい、大きな河川でも1泊2日、せいぜい2泊3日ぐらいしか陸地にいてくれない。

 このために、あっという間に海に戻ってしまう水を貯蔵するダムが必要となる。このダムは山岳地帯で位置エネルギーを保つことにもなる。

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元国土交通省河川局長。日本水フォーラム代表理事、事務局長
1945年生まれ。1970年、東北大学工学部土木工学科修士課程修了。同年、建設省入省。以来、主にダム・河川事業を担当し、近畿地方建設局長、河川局長などを歴任。2002年、国土交通省退官後、(公財)リバーフロント研究所代表理事を経て、現在は(特非)水フォーラム代表理事。著書に、ベストセラー『日本史の謎は「地形」で解ける』(PHP文庫)、『水力発電が日本を救う』(東洋経済新報社)など多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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