銀行などによる国債の売買(業者間取引)が成立しなくなり、資金証券部など国債取引の担当部署は大幅な人員削減を行っている。当然だろう。価格が変動し、安いところで買って、高いところで売る、あるいは高いところで売って、安いところで買い戻すから儲けが生まれるのだ。価格が変動しないのでは、儲けようがない。

 しかし、こんな話は今に始まったことではない。筆者は、2016年3月15日の拙稿「『マイナス金利』で崩壊が始まった『国債市場』の危険度」の中で、日銀の金融政策により、国債市場が機能不全に陥っていることを指摘している。

本コラムは新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」の提供記事です。フォーサイトの会員登録はこちら

 また、「ETF買い入れによる個別株の価格形成への過度な影響」も要因の1つとして挙げられている。この点についても、筆者は2016年11月21日付の拙稿「日銀『マイナス金利』が歪めた『株式市場』の危険度」の中で、個別企業の株価形成が偏向し、企業業績が悪くても高い株価が維持され、個別企業の株価の調整機能が著しく低下する点や、日銀が大株主となることで、企業のコーポレートガバナンスに悪影響を及ぼしているとも指摘した。国債市場の機能低下も、ETF買い入れによる個別株の価格形成への過度な影響も、日銀は“百も承知”なのだ。

 日銀は、2016年9月から金融政策の手法を、国債の大量購入による「量」から金利をコントロールする「金利」に変更した。「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(イールドカーブ・コントロール)」だ。これは、筆者が再三指摘しているように、量的緩和では日銀が政策目標とする消費者物価指数(CPI)2%上昇が達成できないことを認めた上でのこと。

 ステルス・テーパリング(隠れた量的緩和の縮小)と言われるように、日銀は国債買入額を着実に縮小している。いまだに日銀は「年間の国債保有増加額80兆円をめど」という旗印は下げていないが、実際にはすでに年間40兆円程度しか買い入れを行っていない。したがって、国債の買い入れ額(量)を縮小した以上、次のステップは長期金利の誘導目標(金利)となるのは、当然のことだろう。

金融機関に与えた“累積的”影響

 1つのヒントがある。言い換えれば、今回の金融緩和策の修正を示唆したものでもある。金融緩和策の修正に動く要因の1つとして、「低金利で収益悪化が続く金融機関への“累積的”影響」が挙げられている。2017年12月22日の拙稿「変化した日銀『黒田総裁』発言で金融政策『変更』はあるか」では、黒田東彦日銀総裁が、「低金利が金融機関の経営に与える“累積的”影響」に言及した下りを取り上げている。

◎新潮社フォーサイトの関連記事
「地銀経営報告書」への怨嗟の声に「金融庁新長官」はどう応えるか
「財政健全化」で日銀「ゼロ金利縛り」の禁じ手使う安倍政権の姑息
「地銀統合」で激闘「金融庁」VS「公取委」バトルの内幕