【2位】『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽著、幻冬舎)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽著、幻冬舎)

 時間を売買できるアプリ「タイムバンク」の運営会社として知られている、テクノロジーでお金と経済のあり方を変えるメタップス代表取締役社長の佐藤航陽氏の書籍です。すでに存在している金融の概念を崩さずにITを用いて業務効率化するものを「Fintech1.0」としているのに対し、全くのゼロベースから金融を再構築するものを「Fintech2.0」と定義しています。本書では、基本的に後者のメリットについて言及されています。

[本書のまとめ]

 著者は、これからは「金銭的なリターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになる」と主張しています。SNSの流行によって、共感・熱狂・信頼といった内面的な価値が拡散しやすくなっており、人の熱量が「情報」として一瞬で伝播しやすい環境が出来上がっています。

 このような時代では、「いかに自分の価値を高められるか」が重要になってくるため、スキルや人脈はもちろん、「共感」「好意」のような魅力を高めていくことも必要です。つまり、CSRやブランディングなど従来は企業が行っていた戦略立案を、個人レベルでも行っていくことが求められるようになります。

 結局のところ、どれほどテクノロジーが発展したとしても、各人の価値・魅力が最優先事項となるということです。AIに代替されないようにスキルやキャリアを磨くことも大切ですが、それ以上に、まずは「自分にしかない価値」を提供できるようになることが大事。これは逆に考えると、これまでの資本主義経済の中で居場所を作れなかった人たちも、活躍できる社会が到来するということ。人々のチャンスが広がるという意味で、ポジティブな思考になれる本です。

【1位】『大人の語彙力ノート 誰からも「できる! 」と思われる』(齋藤孝著、SBクリエイティブ)

大人の語彙力ノート 誰からも「できる! 」と思われる』(齋藤孝著、SBクリエイティブ)

 テレビなどでもおなじみ、明治大学教授の齋藤孝氏の著書。適さない使い方と正しい使い方が対になっており、例えば「わかりません」の項目には、「勉強不足で申し訳ございません」「不勉強で申し訳ございません」「寡聞にして存じ上げません」「浅学非才」といった言葉が並んでいます。見やすいレイアウトなので、普段あまり本を読まない人でもさらさらと読めてしまうでしょう。