想像以上の働き者、胃の正しいメンテナンス方法

考究:食と身体(4)炉の神ヴェスタ篇

2018.07.27(Fri) 大平 万里
筆者プロフィール&コラム概要

胃は潰瘍のリスクに晒されている

 胃の「消化-洗浄」というこのサイクルは、迷走神経とさまざまなホルモンによって巧妙にコントロールされている。迷走神経は大脳のさまざまな部分とつながっているので、精神的なストレスなどが胃の上皮細胞の活動に影響を与え、胃壁が胃液の攻撃を受けやすくなることもある。つまりは、精神的なストレスが胃潰瘍発生の原因となりうるのである。

 さらには、胃には「やっかいな侵入者」も存在する。その名は「ヘリコバクター・ピロリ」。いわゆるピロリ菌だ。このピロリ菌は、強酸性の胃の中でも死滅せずに上皮細胞へ張り付いてさまざまな因子を分泌し、胃潰瘍の原因である粘膜の脆弱化を引き起こすと考えられている。

 ピロリ菌の他にも、同じような悪さをするバクテリアの存在が知られているが、感染した状態でもまったく症状がない人も多く、胃に定住しているバクテリアがヒトにとって本当に「やっかいな侵入者」でしかないのかは、まだはっきりとは分からない。

ふさわしい食生活で「胃袋を掴む」

 こうしてみると、「胃を心地よく働かせる」には、おいしい食事を提供するだけでなく、空腹の時間から逆算した食事を出すタイミング、ストレスを感じさせない環境づくりなども必要であることが分かる。

 やはり「胃袋を掴む」は、ヴェスタ(胃)の特性を考慮した、炉の神の居心地がよくなるような食生活を、総合的に構築することで実現するのである。

 さて、部分的に消化され胃を無事通過した食物は、実はまだ「体内」には入っていない。いったいどういうことなのか。詳しくは次回に説明していこう。

第5回へ続く

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1964年東京生まれ。生物・化学系ライター。熊本大学理学部生物学科卒業。北海道大学理学研究科博士課程修了。博士(理学)。旧工業技術院(現・産総研)、秋田県立農業短大附属属研究所などの流動研究員、高校教諭等を経て現在に至る。最近はその辺に転がる岩石の来歴が気になってしょうがない。


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