広範囲圧迫で萎縮

 自分の裁判も続いている。さらにこれだけ広範囲の「圧迫」を受けては、経営マインドがどうしても萎縮してしまう。

 大統領に会って、何かを頼むなどということはあり得ない。だが、産業界を代表するグループのトップが、一度も会っていないというのも不自然だ。

 できれば、韓国経済にとって、財閥や大企業、サムスンの重要性を理解してほしい。そんな痛切な思いだったはずだ。

大統領が面談したワケ

 文在寅大統領はでは、なぜ、今になって「サムスン総帥」と会うことにしたのか?

 今の政権の経済政策の柱は、「所得主導成長論」だ。

 これまでの政権は、財閥と2人3脚で成長を目指した。金融支援、規制緩和、減税などを通して大企業を支援する。その結果、経済のパイが拡大し、中小、下請け、周辺企業も育つという考え方だ。

 ところが、最近10年間、状況は変った。サムスンは大きくなるが雇用は増えない。失業率は上昇し、経済格差は広がる一方だ。

 だから発想を変えた。大企業を牽引役にする政策は改める。最低賃金を大幅に引き上げ、非正規職を正規職に転換する。

 労働者の給与増加→消費拡大→企業業績向上→投資、雇用拡大。こんなサイクルに転換することを目指している。