葬送ビジネスにおける消費者の権利保護にあたっているNPO「ヴェルム」のウラジーミル・ゴレロフ氏は、誰がどこで亡くなったという情報は病院関係者や警察から1件4万円弱で売買されており、業者にとって十分回収できる額だと話している。

 高額を要求されたというのはよくある話で、話題にもならない。むしろ結果的にきちんと埋葬できれば、それだけでラッキーなのかもしれない。カルーガ州では今年2月、棺が埋葬翌日に掘り出されるという事件があった。

 ある夫妻は、親戚の男性に小額を払い、祖父の遺体を埋葬するための穴を掘ってもらった。

跋扈する悪徳業者

 すると棺を地中に沈めている最中に「葬儀社エンジェル」の社長が近寄ってきて、「この墓地はクローズド墓地になった」と言い張り、埋葬を中止するよう求めてきた。

 夫妻はそれを無視し埋葬したが、次の日、棺は掘り出され、地上に放置されていた。夫妻は「犯人は葬儀社エンジェルの社長だ、サービスを利用しなかったのが気にくわず、嫌がらせしたのだ」と主張した。

 その後の調べで、その場所は去年、本当にクローズド墓地になっていたことが分かった。

 葬儀社エンジェルの社長は「これは私を落としいれようとする同業者の陰謀だ。私がクローズド墓地への埋葬に反対しているせいだ。クローズド墓地に勝手に埋葬するブラック会社はいくらでもある」と話している。

 さらなる調べで、夫妻はライバル会社「葬儀社昇天祭」に勤務経験があることが分かった。結局のところ夫妻の自作自演だったのか、他に犯人がいたのかは分かっていない。

 この記事を執筆するにあたって調べてみると、70万円を要求された筆者の知人が母親を埋葬したのは、何の地縁もない場所にあるクローズド墓地だということが分かった。

 先に説明したように、近親者なしにクローズド墓地に埋葬することは不可能なので、高額を騙し取られただけでなく、非合法に埋葬されてしまった可能性がある。このことを本人に伝えるべきか、非常に悩むところである。