エリツィン元大統領のお墓(筆者撮影)

 大統領府付属ロシア国民経営・国家行政アカデミーが2017年に65歳以上を対象に行なった調査によれば、墓地や埋葬にかかる費用のためにお金を残しておくという人は4分の1にも満たなかった。

 となると、いざ墓が必要になったときに考えられるのは、公立墓地を利用する方法だ。モスクワの場合、市内の墓地はいっぱいで、こういった空きのない墓地は「クローズド墓地」と呼ばれる。

 クローズド墓地に申し込めるのは、近親者が既に埋葬されているか、市が主催するオークションに参加するといった極めて限定的な場合のみだ。

市内のマンションが買えるほど高額なお墓も

 クローズド墓地の中の墓が無縁墓と認定されれば墓じまいされ、使用権がオークションにかけられる。

 市内中心の墓地は、マンションが買える値段にまで高騰することもある。この場合、購入するのは区画の永代使用権であり、土地を買うことはできない。

 ちなみにロシアで一番有名な墓地と言えば、モスクワ西部にある世界遺産、ノヴォデーヴィチ修道院だ。

 エリツィン元大統領やチェーホフ、ゴーゴリなど有名人のお墓があり、観光名所にもなっている。こういった場所は、一般市民はもちろんお呼びではなく、国家に特別に貢献した人のみが埋葬される。

 市民用には郊外に「オープン墓地」があり、生前予約はできず亡くなったタイミングで申し込む。市が提携している業者「リトアール(儀式、の意)」を通して注文するのだが、場所は選べず、機械的に割り振られる。

 最もリーズナブルな基本パックは土葬で4万3000円程度。火葬はもっと安く、最低料金は3万8000円だ。ここで挙げた価格はあくまで埋葬に限っての話で、教会葬を行なう場合は別途費用が必要になる。

 しかし一般的なロシア正教会であれば高くても1万円程度だ。