「最大のイチオシ。2日で読んでしまった」

「『税関吏ルソー』というあだ名のために、理解されてこなかったアンリ・ルソーの足跡をたどれる、サスペンス溢れる面白い作品。美術や絵画の世界に気晴らしができる最高の読書体験」

 本好きなブロガーからは、こうした感想が寄せられている。

 パリ税関の入市税徴収員としてのキャリアが長かったため、フランス人はいまだにアンリ・ルソーのことを「税関吏ルソー」と呼ぶのが普通だ。

“「ルソー」だけだと、哲学者のジャン=ジャック・ルソーや19世紀の画家テオドール・ルソーが思い出されることも多い。(中略)ルソーの名前の前に「税関吏」とつけたほうが、一般人には「ああ、あのルソーか」とすぐに思い出すことができる。(中略)呼びやすく、親しみやすいあだ名。しかし、このあだ名のせいで、ルソーは死後七十年以上経っても「かつて税関に勤めていた日曜画家」のイメージから抜け出せないのだ。

 ティムは、このいまわしいあだ名「税関吏」をルソーの枕詞でなくすることが、MoMAでの展覧会が担った役割のひとつであると考えていた”(『楽園のカンヴァス』より)

 主人公の1人、ティムの思いは、そのまま作者の思いに重なって見える。

パリで開かれた出版記念イベント

 フランスの画家アンリ・ルソーを扱った日本の小説がフランス語で出版されること――それは実は、大いなる挑戦でもある。

 グロバリゼーションの時代と言いながら、ヨーロッパという「本場」で、彼らの牙城に入って何かをやろうとするとき――たとえば日本人が、ドイツでワーグナーやイタリアでヴェルディを演奏し、フランスでフレンチレストランを開くとき――ヨーロッパの人々は一瞬、身構えることを、私は経験上、間近で見ている。

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