さらに、政府関係者によると、同パイプラインの事業支払いが、プロジェクト進行が未完成なのに、「事業総額の87%近くが既に中国側に納入されており、今後、政府間交渉でその資金の返還を求めていく」という。

 同事業におけるマレーシアの国益はほとんどないため、同パイプライン事業の廃止も視野に入れているようだ。
 
 マレーシアではすでに、1MDB傘下の発電所の全株式約99億リンギを、中国の原子力大手、中国広核集団に売却。しかも、中国広核集団は、1MDB負債の一部の60億リンギも肩代わりした。

 ナジブ前首相は借金返済のため、「発電所は外資上限49%」というマレーシアの外資認可規制を無視し、違法に中国企業に100%で身売りしてしまった。

 「マハティール首相は、これ以上、中国に国の安全保障を“身売り”できないと考えている」(与党関係者)という。

 マレーシアのこうした「反一帯一路」の動きは、他のアジア諸国にも波及している。

 ミャンマーに、ネパール、パキスタンなどでは中国主導のインフラ建設計画の延期や中止が相次いでいる。その建設総額は約770億ドル(1ドル=約110円)にもなる。

 軍事転用への懸念がある上、中国の支援による見返りに、不信を募らせた結果と見られている。

 さらに、インドは今年4月、北京で開催されたインド・中国経済戦略会議でラジブ・クマル国家経済政策機構副委員長が「一帯一路の大型事業で進行中の中国・パキスタン経済回廊は、カミール地方(インドとパキスタンの領土紛争地域)通過し、インドの主権侵害にあたる」と、一帯一路に反対の意を表明。

 インドは昨年5月の「一帯一路国際協力サミットフォーラム」にも欠席していた。