イエローカードの最終目的は具体的な行動改善である。そのため、イエローカードを受けた社員には1年間のコーチングプログラムの受講を義務づけている。

「イエローカードをもらった社員は、なぜ自分が? と被害者意識を持ってしまうことがあります。そのため、コーチングを通して、他者からの評価を正面から受け止め、自分自身の改善行動をしっかりと考えてもらうようにしています」(倉茂人事部長)。

 しかし、「イエローカード」を出し続けられると、サッカー同様「気づきを促す」だけでは済まされなくなる。2年連続、もしくは5年の間に3回出されると「レッドカード」となり、降格となる。昇格もあるが降格もあるという厳しい制度だが、「こうした上司のもとで働く部下のことを思えば、降格も致し方ありません。その代わりに新しい人を抜擢するようにしています」(倉茂人事部長)。降格者には全員、倉茂人事部長が直接面談してフォローするという。

 今後の人事評価制度について倉茂人事部長は、「評価者に対する教育を進めるなど、評価の精度を上げるとともに、評価結果に対するフォローの範囲をもっと広げたい」と意欲を語る。「働く社員にとって良い会社」実現のためのアイリスオーヤマの試行錯誤は続く。