そして、誰がどのような評価をしたのかは分からないように、集計は外部へ委託、人事部も見られないようにしている。誰が点数をつけたかが分かった状態では、(特に上司に対して)思った通りの点数がつけづらいからだ。

「360度評価」は自分自身に対しても行う。ただし、評価に反映されるのは「他者評価」のみで、「自己評価」は反映されない。「『自己評価』をするのは、自分自身の認識と他者らの認識のズレがあることに気づいてもらいたいからです。『他者評価』のみを反映するもの『評価は他人がするもの』という基本姿勢によるものです」(倉茂人事部長)。

 たとえば、「マネジメント力」の評価内容の1つになっている「目標を周知徹底、部下に理解させている」を自分自身では実行している「つもり」でも、部下から実行していないとみなされれば、それが評価、ということになる。

社員の気づきを促す「イエローカード」

 アイリスオーヤマにおける人事評価は社員の教育ツールとしての役割も大きい。それをよく表しているのが、評価結果と紐づいた「イエローカード制度」だ。

 これは、サッカーの警告と同様、気づきを促す目的で「イエローカード」を出すというもの。「イエローカード」の基準は、自身の社員等級に見合ったパフォーマンスを出していないと判断された人で、原則として「360度評価」における下位10~15%が候補だ。