中国経済の急減速を織り込んでいない原油市場

貿易紛争による中国経済ハードランデイングの懸念

2018.07.06(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53487
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 だがこれに満足できないトランプ大統領は「サウジアラビアは最大200万バレルの増産(日量1200万バレルの生産量)をしてほしい」とツイッターに投稿した。トランプ大統領によればサウジアラビアのサルマン国王はこれに同意したとされるが、日量1200万バレルの原油生産を行えばサウジアラビアの余剰生産能力はほぼゼロになる。

 トランプ大統領は7月1日、テレビニュースのインタビューで「我が国はOPECの国々を守ってやっているのだから、彼らは価格操作をやめるべきだ」と主張した。

 OPECの国々と名指しされたサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が主導するアラブ連合軍は、泥沼化するイエメン情勢が重荷になっている。それだけではない。サウジアラビアとUAEは6月26日、クウェートとともに、財政が悪化しているバーレーンの経済改革と財政の安定を支援するための総合的なプログラムを近く発表することを明らかにした。サウジアラビアやUAEと同様に通貨を米ドルにペッグしているバーレーンがきっかけで中東の金融市場に不安が広がることを防ぎたいからだ。また、サウジアラビアとUAEは6月11日に、ヨルダンでの大規模デモが自国に波及するのを恐れて25億ドルの支援パッケージも発表したばかりである。

 膨らむばかりの財政需要を考えると原油高を死守したいところだが、中東地域の「守護神」である米国の要請とあっては応えざるを得ないというのが実情だろう。

 一方、再三にわたり増産要請を行うトランプ大統領側にも米国防授権法の「縛り」がある。「2018会計年度」国防授権法は「イランからの原油供給が減少した場合に価格への影響が少ないことを証明しなければイランへの制裁を発動できない」としているからだ。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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