ウエルシュ菌は「嫌気性」で、酸素濃度が高い場所では分裂したり元気に活動できません。

 また腸内では、他の細菌と混在しているため、必ずしもウエルシュ菌だけが突出して増殖することはできません。

 しかし、腸内フローラのバランスが崩れると、食中毒の原因になることもあるようです。

 ウエルシュ菌を含むクロストリジウム属の細菌には恐ろしい親戚がずらりと並びます。

 「クロストリジウム・ボツリヌム」、いわゆるボツリヌス菌にほかなりません。

 「クロストリジウム・テタニ」、破傷風菌、古来から恐れられてきました。

 「クロストリジウム・ディフィシレ」、抗生物質に強く、その投与後に他の腸内フローラが死滅すると「菌交代症」を発症し、偽膜性大腸炎などを引き起こします。

 このように、破傷風などを記すと分かりやすいかと思いますが、ボツリヌス菌にしても実は土壌内にたくさん存在しているものの、嫌気性のため普段は大して悪さをしないのです。

 これが、真空パックのソーセージなどの中に入り込むと、活発に分裂して毒素を作り出し、誤ってこれを摂取した人に致命的なダメージを与えてしまうことがある。

 人間の体内でも、普通に腸内などに存在している範囲では、たいした悪さはできませんが、傷口などからソーセージならざる筋肉、結合組織など、人間の体内でも嫌気的な環境に近い場所に菌が感染、免疫力などが衰えていて、これが増えてしまうと、大変なことになってしまう。