1つの「ありがとう」の声では差別化できないと感じたら、他の「ありがとう」の声を足し算していくといいでしょう。「用意周到なのに、真っ先に行動する」「全体を捉えることが得意なのに、細かいところにも気づく」「論理的に考えることが得意なのに、話し方は凄く情熱的」というようにギャップがある資質を足し算していくと、あなた独自の魅力的な「ありがとう」になります。資質は足し算していくことで魅力は倍増していくのです。

 逆に、掛け算型で考えると普通の人は失敗します。掛け算型とは「100人中1位になれるものを3つ掛けたら100万人中の1位になるから、突出した売れるキャリアになれる」という考え方です。

 これは成功した人の後出しじゃんけんか、最初から成功が見えていた人しか通用しない理論です。普通の人は、担当した職務、職種、業界などしか掛け算できません。それも会社主体のローテーションなので、オリジナルな「売り」になりにくいのです。

 例を出しましょう。「営業」と「マーケティング」を経験した。業界は「人材業界」。これを掛けてみましょう。「営業」×「マーケティング」×「人材業界」=「普通のリクルートの営業」というような結果しかできないようになっているのです。

 普通の人は、「ありがとう」の声から導かれる資質を足し算す方がラクに速くオリジナルになれるのです。私はまずこの方法をお勧めします。

欠点やコンプレックスから持ち味を引き出す

 そうは言っても、差別化になるような「ありがとう」の声を引き出せない時もあるでしょう。その時は自分の欠点やコンプレックスを書き出した上で「いい意味で」と置き換えてみるといいでしょう。思わぬ持ち味が見つかるものです。

「ビジョンが描けない」をいい意味で置き換えると「柔軟に対応し素直に学び結果を出せる」。これはオリエンタルラジオの中田敦彦氏が『天才の証明』(日経BP社)の中で、相方である藤森慎吾氏をそう解説していました。

 人は「いいところ」を魅せたがりますが、「欠点やコンプレックス」をうまく魅せると魅力になります。ぽっちゃりした人はいい意味置き換えると「相談しやすそう」「受け止めてくれそう」という持ち味が引き出されます。ありがとうの声と欠点やコンプレックスをいい意味で置き換えた持ち味を組み合わせると、その他大勢から一歩抜け出す「オリジナル体」に変身することができるのでお勧めします。

 このアラフォー以降で成功する自己PRを「大人の自己PR」と私は定義しています。このPR方法はまだ世に広まっていないので、次回詳しく解説します。