いいことずくめのキャッシュレス化だが、それを実現するのに「Amazon Go」みたいなハイテク重装備が必要なのだろうか。画像認識とセンサーを駆使したAIで購入を検知してスマホでID決済する必要があるとは思えない。それはRFIDタグとスマートカートやスマートゲートを組み合わせてモバイル決済するのも同様だ。

スマホ決済のハイテク装備は不要かも

 キャッシュレスに無人決済するだけならセルフレジと交通系や流通系のICカードやデビットカードを組み合わせれば十分で、ハイテク装備はいらない。この際、手数料率の高いクレカも止めてしまおう。あえてハイテク装備をするのはスマホ決済と画像認識によるビッグデータ入手を目論むからで、ならば「Amazon Go」のようにICタグとPOSマーケティングを否定すべきだ(ICタグを使っておらずスマートゲートではない)。

 中国がモバイル決済一辺倒になったのはオンラインの第三者決済(Alipay/WeChatPay)からオフラインの店頭決済に広がったからで、スウェーデンの場合はATM網維持など現金扱いのコストに苦しむ銀行業界が銀行口座と紐付けてID決済する必要があったからだ。無人精算とキャッシュレス化という運営効率化が目的なら、モバイル決済を前提にする必要はないのではないか。

 業界のトレンドにあおられて過大なハイテク投資に走っては、明日にでも登場するお手軽なキャッシュレス無人精算システムに切り替えられず、泣きを見るリスクが指摘される。

(*)本記事は、小売流通業専門の出版社『商業界』が運営する情報サイト「商業界オンライン」の連載「小島健輔からの直言」から転載したものです。